なかなか気付きにくい病気の一つとして甲状腺の病気があります。
歌手の絢香さんがバセドウ病で活動停止表明をしたことや福島原発事故によって甲状腺がんが多発したなどの情報があり、甲状腺の病気がより広く知られるようになりました。
甲状腺の病気は特に、20代から50代の女性に多く、患者さんの9割近くが女性と言われています。甲状腺がんの疾患は男性の5倍多いとされています。
そんな甲状腺の病気の検査は人間ドックのオプションを利用することで受けることができます。
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甲状腺の病気
甲状腺はのどぼとけの付近にある蝶のような形をした臓器で、新陳代謝を促進する働きがある甲状腺ホルモンというホルモンをつくるための内分泌器官としての役割があります。
この甲状腺の働きが亢進したり低下したりすることで、異常が生じてしまうことがあり、別の病気と間違われやすく発見されにくい病気でもあります。
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまう状態で、バセドウ病もこの甲状腺機能亢進症のうちの一つです。
症状は多岐にわたり、
- 体重の減少
- 眼球が突出する
- 心拍数が増え、血液が上昇する
- 汗が多く出る
- ほてりやのぼせ
- 手の震え
- イライラ
- のどが腫れる
- 食欲の増加
- 下痢
- 甲状腺肥大
などの症状があります。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は逆に甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまう病気で、甲状腺ホルモンが不足している状態となります。
この甲状腺機能低下症のうち、橋本病という甲状腺の炎症の病気が関係していることがあり、この場合甲状腺腫によって首が太く感じることがあります。また、橋本病の甲状腺腫はバセドウ病のものと間違われることがよくあります。
甲状腺機能低下症の症状としては、
- のどが腫れている
- 体重の増加
- 倦怠感、無気力感
- むくみ
- 生理不順
- 低体温
- 夏でも汗をあまりかかない
- 皮膚の乾燥
- 便秘
- 抜け毛
などがあります。
甲状腺がん
甲状腺がんにはいくつかの種類があり、自覚症状がほとんどないものもあり、進行がゆっくりのものから進行が早く半年以内に死亡してしまうような怖いものまであります。
甲状腺がんの原因としては、遺伝的な要因や海藻やうがい薬に含まれるヨードの摂り過ぎ、又は不足などがあり、放射線の被曝によって放射性ヨウ素が蓄積されてしまうことなども考えられます。
チェルノブイリ原発事故の際に子供の甲状腺がんが増加したという事例があったり、賛否両論はありますが、福島原発において放射線が原因で甲状腺がんが増加してしまったという見解もあります。
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甲状腺検査
先ほどお話しした甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症の症状に当てはまる場合や、
- 血縁者の中に甲状腺疾患の方がいる
- 放射線照射を受けた経験がある
- 海藻類の過剰摂取又は不足
- 薬を使っても首の痛みや熱が収まらない
などの場合は人間ドックのオプションを活用して一度甲状腺を検査しておくことをおすすめします。
甲状腺検査としては、血液検査、超音波検査、MRIなどがあります。
血液検査
血液検査でTSH(甲状腺刺激ホルモン)やFT3(遊離トリヨードサイロニン)、FT4(遊離サイロキシン)、TPO抗体、Tg抗体といった項目を検査することで甲状腺ホルモンの分泌に異常がないかを検査することができます。
3割負担で3000円程度の料金で手軽に受けることができる検査です。
甲状腺超音波検査(甲状腺エコー)
甲状腺超音波検査(甲状腺エコー)は超音波をあてることで、甲状腺の状態を断層像として調べることができる検査で、血液検査とセットで行われることがあります。
痛みや被爆リスクなども特になく、5~10分程で終了する検査です。
MRI
がんの広がりを検査する場合など、必要に応じてMRI検査が行われるケースもあります。
MRIは画像診断法として優れているため、エコーだけでは情報が乏しい場合やバセドウ病眼症の場合は外眼筋や後頭部の様子を観察することができます。
甲状腺の検査は人間ドックのオプションで受けることができます
甲状腺の検査は普通の健康診断などの検査項目には含まれておらず、人間ドックのオプションや甲状腺ドックで受けることができます。
甲状腺の病気はなかなか発見しにくい病気でもあるため、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症の症状において自覚症状がある場合や原因不明のだるさや疲れ、慢性的な体調不良に悩まされているという場合はまずは血液検査から受けてみることをおすすめします。
甲状腺の検査を行っているお近くの医療機関は、人間ドック・健診総合予約サイトから検索することができます。